韓国南部、慶州に日本人女性のための老人ホーム、ナザレ園があります。朝鮮半島が日本の植民地だったころ現地の男性と結婚し、戦後も言葉や習慣の異なる異国に生きざるを得なかった女性たちが、今はここで安らかな日々を過ごしています。(詳細は上坂冬子さん著「慶州ナザレ園 忘れられた日本人妻たち」に)
ボランティア会議(釜山)でご一緒したメンバーとナザレ園を訪問しました。
現在、20数人の女性が園におられます。平均年齢約90歳で、寝たきりの方も。1972年にキリスト教者で社会福祉事業家の故 金龍成(キムヨンソン)さんが、日本人女性の滞在施設として建てらましれた。今は金さんのご遺志を継いで宋美虎(ソンミホ)さんが園長になられています。
宋さんは私たちのどんな質問にも流暢な日本語で穏やかにお話してくださいます。お金の工面や政府との諸交渉もこのお優しいお顔で毅然とされるそうです。こんな頼もしい宋さんはお若いのですが、ここの老いた日本女性たちの母親のような存在でもあります。
宋さんと最初お会いした時、雪のように白い肌、その気高さに…まぁ~何てお美しい!…と驚きましたが、それは心の内から迸るように出てくる美しさだとお話を伺いながら気づきました。
お別れの時、私たち全員が涙、涙。なぜか置き去りにするような、そんな辛い気持ちでいっぱいに。
すると「どうして泣くの?私たちは、ここでこんなに幸せなのに」「もっともっと辛い、苦しい時に涙は取っておくのよ、こんなことで泣かないで」「さぁ、笑ってお別れしましょう」
歴史に翻弄されて生きてこられた女性の強さに感服。
韓国と日本の関係がギクシャクしている昨今、このように日本女性のために労苦を惜しまず尽くしてくださっている宋さんのような韓国の方々がいらっしゃることを肝に銘じましょう、感謝を!
*この記事は病院ではなく施設訪問ですが心深い場面になり、記録しておきたくてこのカテゴリーに加えました。